画材用紙・水彩紙「ワトソン」のミューズオンラインショップ

ランプライト水彩紙は今年でデビュー10周年!

ということで、画材ブロガーの枯葉庭園様にご協力いただき、
ランプライト水彩紙10歳のお祝いレビューを書いていただきました!

枯葉庭園様の画材ブログ【枯葉庭園-水彩読本】は、
絵具などの画材についてのレビューを中心に、展示会に出展するためのハウツーや創作の悩みなど、
「絵を描くこと」全般について優しく教えてくれる情報ブログです。

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今回のテーマ「ランプライト水彩紙」は、枯葉庭園様に普段からご愛用いただいている水彩紙。
ユーザー様のリアルな目線で、かなり詳細に語っていただいております。

それでは、以下より枯葉庭園様によるレビューをお楽しみください!!

 

 

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今回はミューズさんの企画#だから私はランプライトをお送りいたします。今回は作品の制作過程を追いながら、ランプライト水彩紙を徹底レビューします!枯葉の推し紙の1つ、ランプライト水彩紙の魅力が皆様に伝われば嬉しいです。

 

「だから私は、ランプライト」執筆に至った経緯

今回はミューズさんの企画「#だから私はランプライト」をお届けします。最初に、ランプライト愛を語ってみようと思います。

枯葉とランプライトの出会い

ランプライトは今年10周年を迎えるそうです。

10年前当時は「国産の新作水彩紙!しかも高級路線」という感じで水彩界が盛り上がっていたように記憶してます。

枯葉はランプライトに6年ほど前に出会いました。実はまだあまり水彩紙のことはよく分かっていなくて、コットン100%の水彩紙はアルシュやウォーターフォードくらいしか知らなかったので、あまり紙の良し悪しはよく分からなかったです。が、実際に使ってみて色もしっかりつくし、重ね塗りも綺麗にできて「これはいい紙だ!」とすぐに好きになりました。

その後、クオリティのわりにお手頃なお値段ということもあり、何度もリピートさせていただいてます!

ブログで水彩紙レビューを書くうちに、他の水彩紙との比較で、ランプライトのよさも具体的につかめてきて、今では推し水彩紙の1つとしておすすめ記事も書いています。

この記事ではおすすめの高級水彩紙を3つ比較しているのですが、そのうちの1つがランプライトです↓

こちらのよく使う水彩紙と作例の記事にもランクインしてます!

「好き好き」口走っていたおかげか、ミューズさんにもランプライトといえば枯葉さん、のイメージが定着したそうで、今回お声がかかったそうです!(好きなものは好き、と言っておくものですね✨)

スケッチブックとブロック

ランプライトはスケッチブックとブロックがあります。個人的にはスケッチブックで買うことが多いのですが、ブロックタイプもいいですね。特徴は暖かみのあるオレンジ色の表紙。

スケッチブックは1枚1枚同時に描くことができます。淡彩ならこちらを水張りしないで使ってもあまり波打ちません。厚みも300g/㎡あります。

ブロックタイプは四方が糊付けされているものです。描きあがるたびに1枚ずつはがして使います。こちらは水張りしなくても使うことができます。すごく水を含ませるとたわんでしまうこともあるため、たくさん水を使いたい時には、1枚はがしてから改めて水張りして使うこともできます。

では、これらのランプライト水彩紙を使って作品を描いてみたいと思います!

 

ランプライトの魅力をメイキングで綴る

コンセプト

まずはどんなものを描くか考えました。

自分の好きなテーマで自由に描くか、ランプライト水彩紙に関連のあるテーマにするのがいいのか…

悩んだのですが、ランプライト10周年記念ということもあり、「ランプライト」という名前にちなんで、「ランプ」をテーマにした絵にしようと考えました。希望の灯火を持って、暗い森を照らす天使のイメージが浮かんだので、これにすることに。「ランプライト」がアナログ画材界の希望の光になりますように、という気持ちを込めました。

ひよこ
ひよこ

ランプライトだからランプの光✨

またランプのぼわっとした暖かい光は、ランプライトの得意な「リフティング」で表現したらいいのではないか?とも思ったんですね。水彩紙の特性とやってみたい表現の相性のよさというのも決め手の1つになりました。

 

実際に描き始める前にサムネイルスケッチも描きました。こちらもランプライトのハガキサイズのものです。ハガキサイズはちょっとお試しするのに便利ですね。

暗い背景、木の枝とランプの天使、という感じ。ぼわっと光るのは、手に持ったランプと、髪飾りにしようと決めました。

下準備

作品のサイズはSMサイズ(227mm × 158mm)くらいになるようにしました。今回はF4のブロックタイプを使います。

今回は水張りはせず、そのまま描きます。ちょっと大きめのサイズの紙の真ん中に小さいサイズの絵を描くため、波打はそこまで気にならないはず。

使う絵具は、今回はこんな感じにしてみました。

カーマイン(ホルベイン)…落ち着いた赤。主に黄色と混色して淡いオレンジとして、肌や光の表現に使う。

ネイプルスイエロー(マイメリブルー)…淡いやわらかい黄色、単一顔料だがやや不透明。光の表現に使う。

フタロシアニンブルー(ホルベインパンアーティスト)…鮮やかな青、透明感があり、着色力が強い。今回は鮮やかな青としては使わない。主にペリレンバイオレットやカーマインと混色して、背景や服の色として使う。

ペリレンバイオレット(ウィンザー&ニュートン)…深みのあるくすんだ紫、発色と着色力が強い。フタロシアニンブルーやバーントアンバーと混色して深みのある色を作る。

バーントアンバー(シュミンケホラダム)…深みのある茶色。髪の毛や、枝の色のベースに。

こんな感じに混色していきます!↓

下書き編(水彩紙の凹凸に適した下書きの画材)

まずは下書きから。下書きの線は色鉛筆でしています。高級な水彩紙になると、よく表面の凹凸が激しく、下書きの線がガタつくものも多いのですが、ランプライトの表面は比較的滑らかです。色鉛筆やペンも引っかからないのがとてもよいです。中目くらいだと思いますが、やや滑らかめの中目だと思います。

茶色とオレンジ色の色鉛筆を使いました。オレンジ色の線画は、少し残ったとしても光の表現の邪魔にならないと考えました。

塗り(にじみやぼかし)

まず下塗りをしました。ネイプルスイエローとバーントアンバーで、全体を塗りました。一番淡い部分はこの柔らかい黄色が残るはずです。また肌色もこの時点で、ネイプルスイエローにカーマインを加えた色を塗りました。

その次に着彩に入っていきます。ランプライトはとてもにじみもきれいにできます。海外の水彩紙のように大きくにじむというわけではないのですが、その分コントロールはしやすいです。とてもきれいなにじみ。

ランプライトは表面はサッと乾くのですが、割と絵具が定着するのに時間がかかります。なので、ちょっとはみだしたところを修正したり、後で詳しく語りますが、絵具を拭き取ったりぼかしたりもしやすいです。

ひよこ
ひよこ

修正がしやすいのはいいね!

重ね塗り(重ね塗りはどのくらいできる?)

ランプライトで重ね塗りする時には、ちょっとコツがいります。コットンパルプ100%の水彩紙なので、きれいに重ね塗りできるのですが、最初に塗ったところがしっかり定着するのには少し時間がかかります。なので、ランプライトに重ね塗りしていくときは「しっかり乾かしてから」というのがおすすめですよ。最低でも1時間くらいは待ったほうがよさそうでした。

リフティングについて(これが一番魅力!)

光っている表現を、ランプライトが得意なリフティングを駆使しつつ、表現してみました。

使ったのはネイプルスイエロー、カーマイン、バーントアンバーの3色です。中心にネイプルスイエローを置いて、周りをオレンジ、その周りをバーントアンバーで塗り、境界を馴染ませます。また色をのせては馴染ませて、を繰り返し。中心の光の部分は綿棒で、色を取っていくと…

どうでしょうか?ぼわっと暖かく光るランプの光っぽくなったかなと。

ランプライトは表面が乾いても、しばらくリフティングができます。なので境界をぼかしたり、光っているように見せる表現はとても向いている紙。パルプ紙でもリフティングはできるのですが、今度は色が取れ過ぎてしまうという難点があります!ランプライトは、定着とリフティングのバランスが絶妙な紙だな〜と使うたびに感心します。

濃い色を背景に塗ってみる

濃い色を使った絵を、ランプライトであまり描いたことがなかったのですが、今回は背景を濃紺に塗って夜空を表現していきたいと思います。

で、ペリレンバイオレットとフタロシアニンブルーの混色で背景を塗っていきます。こんな感じ。かなり濃いお色味です!

いよいよ塗っていきます!

と、そこで問題が…。どうやら濃い色をのせてしまうと少し弾いてしまうみたいですね。ゆっくり乾く水彩紙にありがちがな、弾きが強い問題!(これはウォーターフォードでもアルシュでも起こる現象です。)せっかく濃い色で塗っても、白っぽくなってしまい、ところどころ紙の白い点々が浮いています。

オックスゴールなしで塗った時には、白っぽくなってます

そんな時使うとよいのがオックスゴール!

1滴絵具に垂らすだけで、紙に絵具の色が乗りやすくなります。弾き強めの水彩紙にはオックスゴールを常備しておいてくださいね。これでかなり塗り心地を調整できます。

 

マスキングを使わずに枝を避けて塗っていきます。細かいところが骨が折れますが、頑張ります!!

なんとなくランプライトで濃い色は塗れないと思い込んでたんですけど、そんなことはありませんでした。きれいに濃い色ものっている。ポテンシャル高し!

夜空を塗り終わりました。

さらに色を重ねていき、背景と人物が馴染むような色にしていきます。

仕上げ

 

このままでは色が暗過ぎるので、最後に白い星を描いていきました。

サムトレーディングのカラーマスターの白を使いました。

 

完成!!

ランプライトらしい作品に仕上がったのではないかと思います!

タイトルは「希望の灯火」としました。

 

技法のまとめ 

ランプライトで色々な技法を試したものをまとめました。

にじみ

にじみ、ぼわーんとしたにじみ。境界をぼかしたいときや、ウェットインウェットで濃淡をつけたいときに。

そこまで大きく広がらず、コントロールしやすいです。

放射状ににじみが広がるというより、淡い部分がふわっと円形に広がるところが面白いですね。

重ね塗り

重ね塗りはじっくり乾いてからがおすすめです!ランプライトの場合、絵具の定着に時間がかかるので、表面が乾いてすぐに重ねようとすると、下の色が溶けてしまいがちなのですが、焦らず時間を置くと綺麗に色を重ねることができます。

表面が乾いて、5分後くらいでは、全然下の色が溶けてしまうのですが、じっくり3時間ほど乾燥させたら、大丈夫でした。

また、どうしても下の色が削れてしまう場合は筆を羊毛などの柔らかめのものに変えるのもおすすめですよ。

ひよこ
ひよこ

重ね塗りにはコツがいるんだね

リフティング

リフティングは時間が経つと色が取れにくくなるので、がっつり取りたい時は、表面が乾いてから10分以内に取るといいです。

時間が経つと取れにくくなります。これは染みつきの強いフタロブルーを羊の柔らかい筆で、リフティングしてみたものです。色によってはあまり定着しない色もあるので、そういう色の場合は時間が経ってもきれいに色が取れたりします。

硬めのナイロン筆を使うとリフティングしやすく、逆にあまり色を取りたくないときは、羊やりすなどの柔らかい筆を使うといいですね。筆によってもかなり変わってくるので色々お試しください。

 

この性質をうまく使ってハイライトも入れられます。

水に濡らした筆で、リフティングしたい部分をなでて、そのあとにティッシュか綿棒で絵具を取るときれいに色が取れます。水で濡らした綿棒でもリフティングできます。

乾いた後に境界をぼかす、ということもできます。境界をぼかした感じにしたいときや背景と馴染ませたいときにもおすすめです。

紙肌

表面の滑らかさ。適度に凹凸はあるのですが、下書きの時にストレスのない穏やかな紙肌!

先の細いミリペンでもひっかかりにくかったです。

色鉛筆の線もスムーズでした!

消しゴムもかけてみましたが、特に表面が荒れるということもなかったです。

マスキングは今まで使ってみたもの(W&Nとホルベイン)では特に問題ありませんでした。

紙の色と発色

ランプライトという名前だけあって、暖かな色の紙色。黄色っぽいというより、柔らかい赤みのベージュ。

全体的に少し、抑えめの発色です。落ち着いていてむしろまとまりやすい感じ。ただ青や紫は真っ白な水彩紙に比べると少し、落ち着いた色になります。どちらかというと暖色系の色や落ち着いた色調の絵に合いそうです。

ランプライト水彩紙
真っ白系の水彩紙

 

ランプライト作例

他にもランプライトを使った作例をご紹介していきます!

人物と暗い背景の境界をぼかしています。境界をなじませることで、濃い色の背景と馴染みやすくしています。

 

ランプライトでは青系の色は落ち着いた色になりますが、暖かい紙色とほどよい対比となります。

 

髪の毛の柔らかい表現とか、この紙でないと!と思ったりしています。この紙の色は緑系の絵と相性よいですね。

 

ぶどうのハイライト(光っている部分)をリフティングで表現しています。柔らかいハイライトを入れるのにとてもよいです。

 

どんな人に向く?ランプライト

滑らかな感じに見せたい!

これはゆっくり乾くという性質と、境界をぼかすことができるという性質によるものだと思いますが、ランプライトに描いた作品は、他の紙に描いたものより、ソフトで滑らかな印象です。紙目は中目だと思いますが、そこまで凹凸は大きくありません。シャープでかっちりした感じより、ソフトな感じを求める方に向いている水彩紙です。とくに枯葉の場合、人物の柔らかい肌の描写や花、フルーツなどにとてもよかったです。

アルシュやウォーターフォードとはまた違った感じなので、使ったことのない方はぜひお試しいただきたいですね。

初心者!

ずばり、初心者さんにもよいです!適度にリフティングできるため、ある程度修正ができます。

またこんなアイテムもあります↓

これで、ちょっとしたはみ出しもカバーできます。

またゆっくり乾くので、焦って作業する必要はありません。少しずつ慎重に描いていきたい人にとても向いている水彩紙です。

 

コストパフォーマンスを重視する人!

国産の水彩紙であることもあって、ランプライトはクオリティに対してお値段がお手頃です。私がついリピートしてしまうのは、もちろん使い心地を気に入っているからですが、この絶妙な価格設定も大きいです。

もちろん、もっと安い水彩紙もあるのですが、展覧会に出すような作品を描くならある程度のクオリティは欲しい!ランプライトはとにかく価格とクオリティのバランスがいいです。これもランプライトを推す大きな理由の1つです。

ひよこ
ひよこ

値段は大きいよね

コスパがいいということは、失敗を恐れずに、ガシガシ描いていけるということでもあります!

 

メーカーさんに聞いてみた!

せっかくの機会なのでメーカーさんに質問をして答えていただきました。数少ない国産のコットンパルプ100%水彩紙なので、開発者さんに伺いたいことがたくさんありました!!

実は今回かなり長い回答をいただいてまして…。要約してご紹介することも考えたのですが、やっぱり皆さまに全部読んでいただきたいなという気持ちがありまして、全て載せさせていただくことにしました。

かれは
かれは

たっぷりとした回答ありがとうございました!

 

①開発の経緯

かれは
かれは

開発の経緯などを教えてください。開発のきっかけなど伺えれば嬉しいです。

 

国産のコットンパルプ100%水彩紙はミューズにとって長年の悲願でした。

それこそ1960年の創業当初から構想はあったのですが、原材料や協力工場の確保など様々な事情で実現が叶わず、実質”お蔵入り”となったままでした。

ひよこ
ひよこ

結構前から構想はあったんだね!

しかしそれから年月が経ち、フランス産のアルシュをはじめとした海外水彩紙の人気が本格的に出始め、水彩アーティスト人口も増え、ユーザーのレベルも高まり始めたのを見たときに、やはり国産のコットン100%水彩紙にチャレンジすべきだという声が社内でもぽつぽつと出始めまして(笑)

とはいえすぐに「じゃあ作るか!」とはなりませんでした。

なぜなら長年の悲願を達成したいと意気込む一方で、同じようなものを作ってもあまり意味がないのでは?という疑念もあったからです。

素晴らしい完成度の海外ブランド水彩紙がすでにマーケット需要を満たしておりますし、そこへただ乗り込んでもユーザーに受け入れてもらえないことは明らかでした。

(そもそも水彩紙を抄造する工場にある抄造マシーンが海外と日本では異なります。ですから、たとえばアルシュと全く同じものを日本で作ろうと思っても難しいのです。)

海外の水彩紙とは別の、新しい”チャームポイント”をつけてあげることが重要だということで、「コットンならではのにじみ・ぼかし技法をゆっくりじっくりと描ける水彩紙」をコンセプトに開発しようと決めました。

人気のある海外水彩紙を研究していくと、多く共通している特徴として「絵具の定着の速さ」がありました。人によって作画スタイルは様々ですが、描画面のあちこちを少しずつ塗り進めつつ全体のバランスをじっくり考えながら完成させていく方もいらっしゃるかと思います。

そういったスタイルのお客様にとっては、定着の速い紙だと修正をしたくてもすでに手遅れになっていて困る場面も多いと思うのです。

ですから、真逆の「絵具の定着が遅い」性質を持ったものならば水彩紙ジャンルの中で住み分けができるし、需要の穴を埋められるのではと考えました。

共に開発を進めてくださる工場を探し求めていたところ、とある製紙工場と良いご縁が生まれ、コットン100%水彩紙の抄造にご協力いただけることになりました。

原材料の問題も解決し、こうして水彩紙「ランプライト」の誕生が実現いたしました。

ひよこ
ひよこ

ゆっくり定着する水彩紙✨

 

②開発で苦労した点や工夫した点

かれは
かれは

ランプライトは国産では珍しいコットンパルプ100%の水彩紙だと思いますが、何か開発で苦労された点や工夫された点はありますでしょうか。

「”にじみ・ぼかし技法をゆっくりじっくりと描ける水彩紙”をコンセプトに!」と高らかに掲げたは良いものの、これがまた大変な作業でした(苦笑)

紙の抄造を依頼する際に成分のレシピを作成するのですが、その微調整が本当に難しかったです。(※抄造‥紙料から紙をすくこと)

目標である「絵具の定着が遅い紙」を実現するためには、サイジング(水彩絵具の染み込みを抑えるための操作)のバランスが重要となってきます。

絵具の定着を遅くしたいからサイジングを強くしてみると、我々のイメージしていたものとは違ったものが出来上がってしまったり、かといって弱くすると今度は個性が無くなってしまい……。繊細で地道な作業が続きました。

しかもテスト抄造と本番抄造では、抄造する量が違うためにレシピに誤差が出る可能性があるのです。

前者は少量ですが、後者となるとトン単位で抄造しますので、テスト抄造のレシピを作る段階である程度の誤差を想定したものにする必要があり、その点も非常に悩ましかったです。

工場の方々には何度も何度もテスト抄造していただいて、我々の納得いくまでお付き合いいただき、本当に感謝をしております。

頭を悩ませる中で嬉しいこともあって、開発を進めていく中で「リフティングが簡単にできる」という新たな魅力にも気づくことができました。その点をピックアップして“後戻り技法ができる水彩紙”としてもご紹介させていただいております。

ひよこ
ひよこ

水彩紙の開発って大変なんだねぇ

 

③商品名の由来

かれは
かれは

商品名の由来を教えてください。ランプの光のような暖かみのある紙色ということなのかな、と思ったのですが、合ってますか?

「ランプライト」の商品名は、社内で募集した中から採用されました。

おっしゃる通り、ランプの灯りのような目に優しいオフホワイトの紙色から由来しています。

また、その名前から具体的なイメージがすぐに想起されるのでお客様に覚えてもらいやすいだろう、という点も採用理由の一つです。

実は弊社ビルの1Fに、当時開発に携わっていた社員の一人が描いた50号サイズの大きな作品が飾ってあります。

もちろんランプライトを使用しており、なかなかの力作です。

ひよこ
ひよこ

これはすごい!!

かれは
かれは

素敵すぎる!

 

④ランプライトはどんな水彩紙?

かれは
かれは

開発者側から見たランプライトはどんな水彩紙ですか?

弊社としては念願のコットン100%国産水彩紙です。

我々の大きな期待が込められた、希望の灯火とも呼べる水彩紙だと考えております。

ミューズの看板としてすでに不動の地位にあるワトソンやホワイトワトソンと肩を並べられるような、多くのアーティストに愛される水彩紙になってほしいです。

 

⑤ランプライトを試して欲しい人

かれは
かれは

どんな人にランプライトを試して欲しいですか?

ランプライトの強みは「ゆっくりとした絵具の定着」です。にじみ・ぼかし技法が好きな方にはぜひご使用いただきたいです。

全体の構図バランスを見ながら、じっくりと作業をすすめる作画スタイルの方にもぴったりだと思います。

また、絵具を乗せたあとも拭き取りができて修正がしやすいので、初心者の方にもおすすめです。

 

回答をいただいて

ということでいかがでしたでしょうか!?

実は、回答を読ませていただきながら、じ〜んとしてしまいました。色々開発までもご苦労や試行錯誤があったんだな、と改めて感じました。水彩紙の開発って大変なんですね!

また、「ゆっくり乾く水彩紙」というランプライトの特徴を改めて教えていただけたので、より理解が深まったように思います。

海外の水彩紙はわりと廃盤が続いているため、安定的に高品質な水彩紙を提供してくださるメーカーさんは、本当にありがたいですし、これからも応援し続けていきたいなと思いました!

 

 

最後に

というわけで、ランプライトへの愛を語ってみました(すごいボリュームになってしまいました)

ランプライトを使いこなすには「定着に時間がかかる紙」であるということを念頭に入れておくとかなり違うと思います。

ポイントをまとめると3つ。

色を重ねるなら時間が経ってから!

逆にリフティングしたいなら、時間が経つ前に!

色を濃くのせたいときはオックスゴールを!

これを押さえておくと、誰でも使いやすい水彩紙になると思います。私も記事を書きながら、さらなるランプライトの魅力に気づくことができました。今までよりも、もっと使いこなせそうな気がします!

ランプライトの魅力がもっともっと広まるといいなと思っています。